CA3I0028


時間の感覚のない集中治療室。
ようやく吐き気は治まったもののヒマだ。
実にヒマだ。
何をする気もないし、することもない。
いや何も出来ないというのが正しいのか。


長時間ベッドの上で寝ていたおかげで、お尻が痛みだす。
ベッドの上で体を少し横にしてみるが
やはり左手と左足が動かない。
身体になにか重いものがくっついていているだけのような・・・
「あぁ、やっぱり動かないんだ~」と改めて絶望する。

動かない左足を眺めていたら、ツツーっとヨダレがシーツを濡らし
絶望感にとどめを刺す。
(※この先、一般病棟に移されてからリハビリを開始するわけですが
 この口の麻痺リハビリにはとても苦労します)

これから先の生活に不安を覚える


布団を頭から被り
これから先のことを考えてみた。
このまま、車椅子生活か、よくて杖の生活になっちゃうんだろうな
いったいどんな生活になるのか・・・。
はたして、退院して家に帰れるのか?

貯金ったって1千万も2千万もあるわけじゃないし
もし車椅子生活になったら家の中も
バリアフリー改造しなくちゃならないだろうし
介護の可能性も出てくる・・・

毎月どれくらいの出費になってくるのか想像もつかない。
今までのようにはもう仕事できないだろうから
これからの生活費をどうするんだ?
貯蓄がなくなったらジ・エンドか?
ジ・エンドなのか?

生活保護なんて絶対に嫌だ!
でも選択肢に入れなきゃならないかも知れない・・・
考えれば考えるほど恐ろしくなってくる。


不安と恐怖で押し潰されそうになった時
看護婦さんが巡回に来てくれる。


唯一、看護婦さんの笑顔だけが救いだ。
(ほのひょうひ、なほいまふは?)「この病気、治りますか?」
と聞いてみましたところ

「大丈夫、治りますよ」
と笑顔で優しいお言葉を頂きますが
こんな時の優しい言葉って
たいてい駄目なときなんだよなあ

集中治療室で夜を迎える


カーテン越しの明かりが少し落ちたので
病院の消灯時間なのだろう

このまま眠って、もう二度と目が醒めなくてもいいなと思いながら
目を閉じてみるが変に目が冴えて眠れない

ようやく、ウツラウツラし始めた頃
周りから様々なうめき声とも、唸り声とも言えないような声が聞こえてくる
左の方からは「もう殺してくれ~ウガー」
また、その近くからは「ギギギギ・・・」
右側からは「グェボグェボ・・・」

もう人の声ではありません

耳を塞ぎたいが 左手が動かないよ




・・・終わった何もかも・・・




                    つづく